■目標による管理とは?

 1.組織における「目標」の要件
 (1)経営管理者全員が、明確に規定された目標を持たなければ、必ず混乱が生じ
   る
 (2)企業が業績を上げるには、各人の目標が組織全体の目標に向かっていなけれ
   ばならない
 (3)目標は、自らが属する部門、組織全体への貢献によって規定される
 (4)各人の貢献は、補強し合い、一つの全体を作り上げ、その間に、隙間やあつ
   れきや、努力の無用な重複がないようにしなければならない

 2.目標に明記されるべきもの
 (1)自らの率いる部門が達成すべき成果
 (2)他部門の目標達成の助けとなるべき貢献
 (3)他部門に期待できる貢献

 3.目標は企業の「存続」がかかっているあらゆる分野で必要になる
  基幹的分野の8つの目標
  ①マーケティング
  ②イノベーション
  ③人的資源
  ④資金
  ⑤物的資源
  ⑥生産性
  ⑦社会的責任
  ⑧利益

 4.目標設定に関して、注意すべきこと
  〜誤った方向づけを誘発する要因に気をつける〜
 (1)技能の分化
 (2)組織の階級化
 (3)階層の分離
 (4)報酬の意味づけ

 5.経営管理者の目標は、どのように、誰によって設定されるべきか
 (1)組織に働く者は、事業の目標が自らに求めているものを知り、理解しなけれ
   ばならない
 (2)経営管理者は自ら属する上位の部門全体の目標設定に、責任をもって参画し
   なければならない
 (3)自らが率いる部門の目標は自ら設定しなければならない
 (4)上司は、そのようにして設定された目標を承認する権限を持つ
 (5)上司もまた、彼らに求め期待すべき貢献は何かを心得ていなければならない
    経営管理者からの手紙
    ある組織では、上司は部下にそれぞれ1年に2回、「経営管理者からの手紙」
    を書かせている。この上司宛の手紙の中で、経営管理者はそれぞれ、
   ①上司の仕事の目標と、自分自身の仕事の目標を、自分がみたままに規定する
   ②自分に要求されていると思う仕事の水準(基準)を明記する
   ③自らの目標を達成するために自分自身が行わなければならないことを列挙
    し、ならびに自分の率いる部門で、それらの目標を達成するにあたって障害
    になっていると思うことを列挙する
   ④上司と会社が行っていることのうち自分の助けとなっていること、また自分
    の妨げになっていることを列挙する
   ⑤自らが目標としたものを到達するために、今後1年間において自分が行うべ
    きことを提案し、概略説明する
    この「手紙」は、上司によって受け入れられた時、経営管理者本人にとって
    憲章となり、活動の基準が示されたことになる。
 
 6.自己統制には情報が必要
 (1)自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分では
   ない
 (2)目標に照らして評価できなければならない。そのための情報(フィードバッ
   ク情報)が不可欠である
 (3)しかも、必要な措置がとれるよう、それらの情報を早く手にしなければなら
   ない
 (4)情報は自己管理の道具であって、部下管理の道具ではない。情報は上司では
   なく、本人に直接伝えられることが肝要である
 (5)他人による評価ではなく、自らによる評価を可能としなければならない

 7.「目標による管理」の成功は、どのようにマネジメントを変革させるのか
   〜可能になるもの〜
 (1)「目標による管理」の最大の利点
   「支配によるマネジメント」を、「自己統制によるマネジメント」に代える
   ことにある
 (2)理解が可能になる
 (3)組織内の人間に責任感を持たせ、コミットさせることが可能となる。経営管
   理者や専門スタッフに主体を持たせることが可能となる
 (4)目標管理は、資源の適正配分と努力の集中を不可避とする。したがって目標
   管理の導入は、目標達成に向けて、資源配分、人事(人的資源の再編成)、仕
   事に変化をもたらす
 (5)組織構造の改革が可能になる