■リーダーシップとチームワークその2

 1.経営管理者の5つの仕事とは
  (1)目標を設定する
  (2)組織を作り、仕事を割り振る
  (3)動機づけを行い、コミュニケーションを図る
  (4)評価測定する
  (5)人材を育成する

 2.チームワーク
  (1)貢献に焦点を合わせることで、チームワークが可能となる
  (2)仕事上の協力関係を強化するためのコミュニケーションのあり方
  (3)成果を上げるには、人との関係に責任を持たなければならない
   →共に働く人を理解する責任
   →自分の考えを伝える責任

 3.知識社会におけるマネジメントの課題
  (1)新しい社会は、専門知識と専門家たる知識労働者を基礎として構成される
  (2)知識とはどのようなものか
    ・知識はそれだけでは意味がない。他に貢献して初めて価値がある
    ・知識は人に付いている
    ・知識はすぐに古くなる
  (3)知識社会において、企業がしなければならないこと
    ①組織の使命がなければならない。さもなければ、混乱する
    ②組織は、知識労働者に対し、その知識を生かすための最高の機会を提供することに
     よって、初めて彼らを獲得しなければならない
    ③急速な変化に対応できる仕組みが必要となる

 4.学習を仕事の中に組み込む
  (1)経営者はセルフディべロップメント(自己開発)の能力がなければならない
  (2)人は自らが教えるとき、最もよく学ぶ
  (3)仕事の中に継続学習を組み込む
  (4)継続学習の風土を作り上げる

■リーダーシップとチームワークその1

 1.効果的なリーダーとは
  〜人間のエネルギーとビジョンを創造することこそが、リーダーの役割〜
 (1)効果的なリーダーには使命がある
 (2)ついて来る者がいてこそのリーダーである
 (3)リーダーは一貫性に支えられている
 (4)メンバーが正しいことを行うことが、効果的なリーダーであることの証明
 (5)模範となるのはリーダー自身である
 (6)究極のリーダーは使命の下に自分を置く

 2.一流のリーダーに共通するワークスタイル
 (1)組織の使命を考え抜き、それを明確かつ目に見える形で定義し、確立する
 (2)自分がやりたいことからではなく、なされるべき事柄からスタートする
 (3)自分には何ができるかを考える(自分の強みを基盤にする)
 (4)部下の個性を大切にする(自分のコピーを求めない、部下の強みを活かす)
 (5)部下の優越性を歓迎する(部下の強みを恐れない)
 (6)仕事の基準を守り抜く
 (7)権限の保持と委譲が的確である
 (8)自己点検を怠らない

 3.リーダーの基本能力
 (1)人の言うことをよく聴こうとする意欲、能力、規律
 (2)自分の考えを理解してもらう継続的努力

 4.リーダーがしてはならないこと
 (1)自分のしていることや、していることの理由は、組織内の誰にも自明なこと
   であると考えてしまう
 (2)手柄を独り占めする
 (3)ものごとがうまく行かないとき、人のせいにする(部下の悪口を言う)
 (4)自らの後継者を自分だけで決める
 (5)カリスマ性を求める
   →効果的なリーダーシップはカリスマ性に依存するものではない
   →カリスマ性はリーダーを破滅させる

 5.効果的なリーダーはバランスを考える
 (1)長期と短期のバランス
 (2)大きなことと細々したことのバランス
 (3)集中と多様化のバランス
 (4)慎重と性急のバランス
 (5)機会とリスクのバランス  

■目標による管理とは?参考編

 目標管理の名のもとに、通常行われている個人や部門の目標設定の仕方は、誤っており、むしろ有害でさえある。普通、目標管理と称して、「これが組織全体としての目標である。この目標を実現するには、君として何をしなければならないと思うか」と質問しているが、このような問題提起の仕方は間違いである。

 では、どう問わなければならないか?

 ①この組織の果たすべき役割を考え、組織としての目標、優先順位、戦略を考えよ

 ②それらの目標、優先順位、戦略から、組織は今後一年もしくは二年という期間に
  おいて、君と君の部門に対して、いかなる責任を与えるべきと思うか

 ③その上で、君と君の部門が目標とすべきものは何か

 ④それらの目標を達成するために、君は何をしなければならないか

 ⑤組織全体として、また君の部門として、新たな成果をあげられるものは何か。問
  題となるものは何か

 もちろん、これらの設問に対する答をもとに、最終的な意思決定を行うのは、経営にあたる者である。経営管理の浪漫派たちがいうように、必ずしも部下のほうが問題をよく知っているわけではない。しかし、上司のほうがよく知っているわけでもない。はっきりしていることは、部下と上司では、何をなすべきか、何をなしうるかという点について、考えが違うということを互いに認識しあわない限り、いかなる意思の疎通も不可能だということである。また、部下の側に仕事や成果や組織に対する責任感がない限り、目標管理の導入も不可能だということである。

■目標による管理とは?

 1.組織における「目標」の要件
 (1)経営管理者全員が、明確に規定された目標を持たなければ、必ず混乱が生じ
   る
 (2)企業が業績を上げるには、各人の目標が組織全体の目標に向かっていなけれ
   ばならない
 (3)目標は、自らが属する部門、組織全体への貢献によって規定される
 (4)各人の貢献は、補強し合い、一つの全体を作り上げ、その間に、隙間やあつ
   れきや、努力の無用な重複がないようにしなければならない

 2.目標に明記されるべきもの
 (1)自らの率いる部門が達成すべき成果
 (2)他部門の目標達成の助けとなるべき貢献
 (3)他部門に期待できる貢献

 3.目標は企業の「存続」がかかっているあらゆる分野で必要になる
  基幹的分野の8つの目標
  ①マーケティング
  ②イノベーション
  ③人的資源
  ④資金
  ⑤物的資源
  ⑥生産性
  ⑦社会的責任
  ⑧利益

 4.目標設定に関して、注意すべきこと
  〜誤った方向づけを誘発する要因に気をつける〜
 (1)技能の分化
 (2)組織の階級化
 (3)階層の分離
 (4)報酬の意味づけ

 5.経営管理者の目標は、どのように、誰によって設定されるべきか
 (1)組織に働く者は、事業の目標が自らに求めているものを知り、理解しなけれ
   ばならない
 (2)経営管理者は自ら属する上位の部門全体の目標設定に、責任をもって参画し
   なければならない
 (3)自らが率いる部門の目標は自ら設定しなければならない
 (4)上司は、そのようにして設定された目標を承認する権限を持つ
 (5)上司もまた、彼らに求め期待すべき貢献は何かを心得ていなければならない
    経営管理者からの手紙
    ある組織では、上司は部下にそれぞれ1年に2回、「経営管理者からの手紙」
    を書かせている。この上司宛の手紙の中で、経営管理者はそれぞれ、
   ①上司の仕事の目標と、自分自身の仕事の目標を、自分がみたままに規定する
   ②自分に要求されていると思う仕事の水準(基準)を明記する
   ③自らの目標を達成するために自分自身が行わなければならないことを列挙
    し、ならびに自分の率いる部門で、それらの目標を達成するにあたって障害
    になっていると思うことを列挙する
   ④上司と会社が行っていることのうち自分の助けとなっていること、また自分
    の妨げになっていることを列挙する
   ⑤自らが目標としたものを到達するために、今後1年間において自分が行うべ
    きことを提案し、概略説明する
    この「手紙」は、上司によって受け入れられた時、経営管理者本人にとって
    憲章となり、活動の基準が示されたことになる。
 
 6.自己統制には情報が必要
 (1)自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分では
   ない
 (2)目標に照らして評価できなければならない。そのための情報(フィードバッ
   ク情報)が不可欠である
 (3)しかも、必要な措置がとれるよう、それらの情報を早く手にしなければなら
   ない
 (4)情報は自己管理の道具であって、部下管理の道具ではない。情報は上司では
   なく、本人に直接伝えられることが肝要である
 (5)他人による評価ではなく、自らによる評価を可能としなければならない

 7.「目標による管理」の成功は、どのようにマネジメントを変革させるのか
   〜可能になるもの〜
 (1)「目標による管理」の最大の利点
   「支配によるマネジメント」を、「自己統制によるマネジメント」に代える
   ことにある
 (2)理解が可能になる
 (3)組織内の人間に責任感を持たせ、コミットさせることが可能となる。経営管
   理者や専門スタッフに主体を持たせることが可能となる
 (4)目標管理は、資源の適正配分と努力の集中を不可避とする。したがって目標
   管理の導入は、目標達成に向けて、資源配分、人事(人的資源の再編成)、仕
   事に変化をもたらす
 (5)組織構造の改革が可能になる



   
    
 
 

■仕事の生産性を高めるには?その2

 1.管理手段を決定する〜仕事の工程の中に管理手段を組み込む〜
 (1)仕事の工程を管理するというのは、あくまでも仕事を管理することであっ
   て、その仕事をする労働者を管理することではない
 (2)管理の目的は、工程を円滑かつ適正に、高い基準に従って進行させることに
   ある
 (3)仕事の生産性をあげるには、仕事という工程の中に、適切な管理手段を組み
   込まねばならない
   とくに生産の工程の場合には、次の点に関して管理手段を組み込む必要がある
   ①工程の進行方向
   ②工程の質
   ③工程が一定の期間に一定の労働量を投入されたときに生産する量
   ④工程の基準(たとえば機械の保全修理とか安全性についての基準)
   ⑤工程の経済性、つまり資源の使用能率
 (4)管理手段を考える上でのポイント
   ①管理手段は労働者の道具である
   ②管理手段は、決して「労働」の妨げになってはならない
   ③「最小の努力」で工程を許容誤差内に維持する管理方式とはいかなるものか
    を明らかにする
   ④所望の成績について、また、基準からの乖離が許される限界について決めて
    おく
   ⑤管理は、すでに行われた仕事の結果からの「フィードバック」によらねばな
    らない。仕事それ自体が管理のための情報を提供せねばならない
 (5)管理手段を組み込むべきいくつかの重要箇所
   ①機能不良が起こりそうな場所はどこか
   ②制御措置をとる必要があるのかどうかを知るための十分な情報は、工程の中
    のどの箇所にあるのか
   ③工程の中のどの箇所ならば効果的な措置をとりうる余地がまだ残されている
    のか
   ④継続的な制御が必要になるのは工程のどの部分か
   ⑤特定の諸段階においてのみ制御が必要になるのはどの部分か
   ⑥予防的制御が必要になるのはどのあたりか。少なくとも非常に初期の段階で
    制御が必要になるのはどのあたりか
 (6)定型と例外を分ける
   管理方式を設計するには、何が「定型」であり何が「例外」であるかを十分に
   検討せねばならない

 2.仕事の道具・ツールを提供する
 (1)道具は仕事と労働の橋渡しである
 (2)この仕事をやれる道具の中で、最も単純で、最も小型で、最も軽く、最も扱
   いやすい道具は何かを考える
 (3)道具はすべて、人間のための道具であり、したがって仕事の生産性をあげて
   労働者に達成意欲をもたせるという、人間の二重のニーズに役立つものでな
   ければならない

 3.知識労働者の生産性向上
 (1)貢献すべきことは何か(何が仕事なのか)
 (2)成果を上げるためには何に集中すべきか
 (3)成果の上がらない仕事を廃棄する
 (4)成果は何かを定義する
 (5)継続学習

 4.人事の意思決定5つのステップ
 (1)仕事の中味を詳細に検討する
 (2)3〜5人の候補者を検討する
 (3)各人の弱みではなく、強みを検討する
 (4)候補者について、それぞれの同僚、上司から話を聞く
 (5)採用された人に、仕事の中身を確実に理解させる

 5.人事の意思決定5つのルール
 (1)採用や配属に失敗した時、決定を行った人は責任を負う
 (2)仕事のできない人、業績の低い人は、速やかに異動させる
 (3)仕事のできない人、業績の低い人には、その人の強味にマッチする仕事で、
   やり直しの機会を与える
 (4)経営トップは、あらゆるポストの人事を適切に行うよう努力しなくてはな
   らない
 (5)新しく採用した人は、仕事の内容が明確で、いつでも必要なサポートを受
   けられるような、確立された部署や業務に就かせるべきである  

  

■仕事の生産性を高めるには?その1

1.事業における生産性向上の意義
 (1)事業上の目標を達成する能力は、必要な価格で、必要な品質のもとに、必要
   な期間内に、しかも必要な柔軟性をもって供給することのできる生産の能力に
   かかっている
 (2)組織メンバーに達成意欲をもたせるための第一歩は、仕事の生産性を上げる
   ことである

2.仕事の生産性向上を検討する上で前提とすべきこと
 (1)仕事とは客体的なもの
   熟練や知識は客体的な「仕事」にではなく、主体的な「労働」に属していると
   の認識が必要
 (2)「仕事」と「人」を分けることがカギとなる

3.仕事の生産性を向上させる4つのステップ
 (1)仕事を分析する
   その仕事をするのに必要な特定の「作業(オペレーション)」を知り、それら
   の作業の順序、およびそれらの作業に必要なものを明らかにする
 (2)作業をプロセスに統合する
   個々に分析した作業を集めて、生産のプロセスとして編成する
 (3)管理手段を決定する
   生産のプロセスの中に、方向づけ、質と産出量、基準と例外を「管理(コント
   ロール)する手段を組み込む
 (4)仕事の道具・ツールを提供する
   その仕事をするのに適当な「道具・ツール」を、その仕事をする人たちに提供
   する

4.仕事を分析する
 (1)仕事の分析は、作業を明確化することからはじまるのではない
 (2)仕事の分析は、「望ましい最終製品は何か」と規定することからはじまる
 (3)最終製品こそ、作業から工程への統合、適切な管理手段の設計、所要の道具
   の具体的内容(スペック)を決めるものである
 (4)仕事の分析は、次の質問から出発せねばならない
  ①われわれはいったい何を生産したいと思っているのか
  ②そのための「仕事」とはいったいどんなものなのか
  ③また最終製品をどのように設計しておけば、仕事を最も楽に、最も生産的に、
   最も効果的に遂行できるのか

5.作業をプロセスに統合する〜生産工程として編成する〜
 生産の原理〜四つの生産方式〜
 ①個別生産
 ②硬直的な大量生産
  →単一の製品を生産する旧型の大量生産
 ③柔軟な大量生産
  →規格化された部品によって多様な製品を組み立てる大量生産
 ④装置生産または「流れ」生産

 これら四つは、それぞれ独自の内容をもち、経営陣に対する要求も、それぞれ
 違っている
 

■われわれの組織体制はどうあるべきか?

 1.良い組織かどうかを如何に判断するべきか
 (1)良い組織は勝手にはできあがらない
 (2)勝手に進化するのは、混乱、摩擦、間違った成果

 2.悪い組織の兆候
 (1)組織階層が多すぎる
 (2)組織上の問題が頻繁に発生する
 (3)基幹要員の活用を重要でない問題や的外れの問題に向けさせてしまう
 (4)大勢の人間を集める会議が頻繁に開かれる
 (5)人の感情や好き嫌いに気を使うようになる
 (6)調整役や補佐役など実際の仕事をしない人たちを必要とするようになる

 3.組織は戦略に従う
 (1)組織構造は、成果を上げるための前提
 (2)もっとも単純でありながら、有効に働く組織
 (3)正しい組織構造が成果を約束してくれるわけではない。しかし、間違った
    組織構造は成果を生まず、最高の努力を無駄にする
 (4)組織構造の判定基準は、そこに働く人間による「業績」

 4.組織作りのポイント
 (1)一般的な組織モデルを、生きた組織にそのまま当てはめてしまう間違い
 (2)重要なのは、組織「図」ではなく、組織の実態である
 (3)組織構造の設計は、最初に手をつけるものではなく、最後に手をつけるべ
    きもの
 (4)まず最初に、組織の使命と戦略に適合した基幹活動を明らかにすること
  ・組織構造の設計は「組織の目的を達成するにはいかなる分野において卓越性
   が必要か」との問いに答えることから始まる
 (5)現業の仕事と、革新のための仕事と、トップ・マネジメントの仕事の三つ
    の違った種類の仕事を。同一の組織の中に組み込まなければならない
 (6)組織の構造は、仕事中心でありながら人中心でなければならない。同時に
    責任と権限の二つを軸にして決めなければならない

 5.組織作りにおける課題と分析視点
 (1)組織構築の課題
  ①何を組織の単位とするか
  ②組織単位のうち、何を一緒にするか。何を分離するか
  ③いかなる大きさと形にするか
  ④いかなる位置づけを行い、いかなる関係を持たせるか
 (2)組織構築のための4つの分析
  ①基幹活動分析
  ②貢献分析
  ③決定分析
  ④関係分析

 6.基幹活動分析が最も重要
 (1)基幹活動分析の3つの問い
  ①組織の目標を達成するには、いかなる分野において卓越性を必要とするか
  ②いかなる分野において成果があがらないと、致命的な損害を被るか。
   いかなる分野において、最大の弱点を抱えているか
  ③われわれにとって、本当に重要な価値とは何か
 (2)戦略が変われば、必ず基幹活動も分析しなおさなければならない

 7.貢献分析
 (1)貢献活動の種類
  ①成果を生む活動
   ・直接収入を生む活動
   ・成果に貢献する活動(具体的数値的に測定可能な成果に貢献するもの)
   ・情報活動
  ②支援活動
   ・良心活動
   ・助言と教育活動(サービス・スタッフ)
   ・渉外活動(法律スタッフ・特許部など)
  ③家事活動(労働環境整備活動)
   ・衛生活動
   ・労働環境向上のための活動・福利厚生活動
  ④トップ・マネジメント活動
 (2)貢献分析を踏まえた組織づくり
   ・基幹活動を、基幹ではない活動に従属させてはならない
   ・収入を生む活動を、収入を生まない活動に従属させてはならない
   ・サービススタッフの数は極力少なく、基幹活動についてのみ置くこと
   ・良心の活動を、他のいかなる活動にも従属させてはならない。他のいかなる
    活動とも一緒にすべきでない
   ・同一の貢献をする活動は、それらが技術的に見ていかに専門化していても、
    同一部門内で同一管理陣の下に置くことができる

 8.決定分析
 (1)決定分析のための問い
  ①目標の達成に必要な業績をあげるには、どのような決定が必要になるのか
  ②それらは、どのような種類の決定であるのか
  ③それらの決定は、組織のどのような階層で下されるべきなのか
  ④それらの決定によって、どのような活動が巻き込まれるのか、ないしは
   影響を受けるのか
  ⑤したがってそれらの決定にどの部門の管理者が参加しなければならないのか、
   あるいは少なくとも決定以前に相談をうけなければならないのか
  ⑥それらの決定が下された後で、どの部門の管理者が決定の通知を受けなければ
   ならないのか
 (2)決定の分類についての4つの基本的指標
  ①決定の将来性
   ・その決定によって、将来どれくらいの長い期間、組織が影響を受けたり、
    拘束されたりするのかを基準に分類する
  ②決定の影響度
   ・組織内の他の職能や他分野、あるいは組織全体に対して与える影響の度合い
    によって分類する
  ③決定の複雑性
   ・その決定に際して行う判断に含まれるべき質的要因の数によって分類する
  ④決定の頻度
   ・定期的に繰り返して起こる意思決定なのか、まれにしか起こらないものか
    によって分類する
 (3)決定分析を踏まえた組織作り
  ①第一の原則:意思決定は、常にできるだけ、低い階層で、しかも執行する場
         に近いところで行うこと
  ②第二の原則:意思決定は、常に影響を受ける活動と目標を全て十分に把握しう
         る階層で行うこと

 9.関係分析
 (1)関係分析のための問い
  ①ある活動を担当する者(管理者)は、誰と一緒に働かなければならないか
  ②他の活動を担当する者(管理者)たちに、どんな貢献をしなければならないか
  ③他の活動を担当する者(管理者)たちから、どのような貢献を受ける必要が
   あるのか
 (2)関係分析を踏まえた組織作り
  ①活動間の関係を最小限に絞ること
  ②致命的に重要な関係は、円滑、密接、中心的な関係としなければならない
  ③活動間の関係は重要な意味あるものだけに限ること

 10.あらゆる組織のための組織構造の条件
 (1)明快さ
   これは、単純であるべきだという意味ではない。その組織の仕事自体が複雑
   な要素をはらんでいる場合には、組織も複雑でなくては、仕事をうまく行え
   ない場合もある。しかしながら、自らの所属がどこにあるのか、そしてそれ
   が、組織全体のどこに位置するのか、などが把握しづらいような組織にして
   はならない。非常に単純な組織であれ、複雑な組織であれ、組織を作る際に
   明確な論理が貫かれていれば、その組織は明快な組織とんなることができる
   であろう。
 (2)経済性
   最も優れた組織構造は、自らマネジメントし、自ら動機付けを行えるように
   なっている組織である。人を動かすために、多くの人間が多くの時間を費や
   す必要がある組織は、経済的であるはずがない。ことに、高い業績を上げら
   れる能力を認められて、高い報酬を得ている人間を、多岐にわたる仕事の
   全体責任者として配置してしまい、あれやこれやと人員管理などに時間をと
   らせるようなことでは、組織の発展は望めない。
 (3)ビジョンの方向づけの容易さ
   組織やその成員の関心の矛先を、「努力」ではなく「成果」に向けさせるよ
   うに組織構造を考えなくてはならない。現代の組織には、高度な専門知識を
   持ったスペシャリストもまた必要である。けれども、この時、組織全体とし
   て必要なのは、専門技術に凝り固まり、専門家を深めることが素晴らしいこ
   とではなく、仕事の成果を上げることが大切なのだという認識である。
 (4)各員の自分自身の課題と全体の課題に対する理解の容易さ
   あらゆる人が、自らに与えられた仕事をスムーズに成し遂げられるようでな
   ければならない。自らが何を成すべきを知ることはもちらん、組織全体が何
   を成すべきかを理解できるようになっている必要があるのである。
 (5)意思決定の容易さ
   組織構造が意思決定のプロセスを強化するものである必要がある。正しいレ
   ベル(位階)で意思決定を行い、成果に結びつけられるように組織を作るべ
   きである。
 (6)安定性と適応性のバランス
   どんな組織も、そこで働く人々のために、かなりの安定性を必要とするが、
   同時に刻一刻、変化する状況に即対応できるだけの、適応性が必要である。
 (7)永続性と新陳代謝のバランス
   組織は、可能な限り永続的でなければならないが、そのためにも逆に、新陳
   代謝が必要である。つまり、組織内に次世代が育つ仕組みを作らねばならな
   い。ことことは、ややもすれば見落としがちであるが、特筆に価する重要事
   項である。

 11.組織構造のタイプ
 (1)仕事と課題を中心に考えた組織
  ①職能別組織
  ②チーム型組織
 (2)業績と成果を中心に考えた組織
  ③事業部制(連邦分権型)組織
  ④疑似分権型組織
 (3)各活動間の関係を中心に考えた組織
  ⑤システム型組織
 (4)意思決定を中心に考えた組織

 12.強みの上に築け
 (1)人の強みに焦点をあてた人員配置
 (2)人員配置後の継続的は検証